横浜 ホテルの価格比較
家賃は払えなくなったら、もっと安いところへ引っ越せばいいだけのことだ。
だが、日本のローン制度は、いったん弘いはじめたローンが途中で払えなくなったら、極端に取り上げられたうえに、いままでずっと払い続けてきた利子は全部ただ取りされる。
しかも、もし取り上げられた家を売った金でローンの残債が払いきれなかったら、差額を払い続けなきゃならないのだ。
それでもローンで家を買いたいという人は、日本の金融業界の仕組みは「貸し手責任」なんて糞くらえで、一方的に貸し手の権利だけ守るものだと覚悟を決めてから家を買ったほうがいい。
なぜ、それでも持ち家に定住することを追い求めるのだろうか?早い話が、たいていの大企業に勤めているサラリーマンは、もしいまの会社をクビになったり、いまの会社がつぶれたりして再就職したら、年収は三、四割落ちてしまう。
月に一万円とか一五万円とかのローンを、年収が三割減っても払い続けられますか?少なくとも、一九八0年代ごろまでは、一流企業に就職するということは、「定年までは失業はさせない」と保証されたようなものだった。
若いころは安月給でこき使われても、「勤続年数が増え、子供たちの教育に金がかかるころには年収も高くなる」という楽しみがあった。
いわゆる終身雇用と年序列賃金という制度が健在だったわけだ。
ところが、最近では大会社の正社員だっていつクピになるか分からないし、賃金が生活費に連動して上がっていくなんてことはとうてい望めない世の中なのだ。
こんな不安定な時代に、安定収入がなければ破滅するような長期ローンを組んで家を買ったり建てたりすることには、何ひとつ利点はない。
それに比べて、「貸家でもいい」と割り切れば、住みたい衡を選ぶ自由は大きく広がる。
なんと言っても精神衛生上健全なのは、背伸びをしても「人生の破滅」みたいなおおげさな心配をする必要がないことだ。
無理な算段をして高い家を買って、途中でローンを払いきれなくなったら、間違いなく借金地獄に落ちる。
しかし、背伸びをしていいところの貸家に住んで、家賃が払いきれなくなったら、また家賃の安いところへ引っ越せばいいだけの話だ。
そして、もちろんこれはその人の感受性次だけど、センスのいい屈がいっぱいある街に住むと、たしかに自分も垢抜けていく。
実際、貸家住まいと持ち家住まいでは引っ越しの頻度が全然違うという、はっきりした証拠がある。
九二ページの表は一九九八年に実施された『平成一年住宅・土地統計調査』の中で、一九九三年から九八年までの五年間に引っ越しをしたことが確認されている二一二一万世帯を引っ越し前と後の居住形態ごとにまとめたものだ。
持ち家世帯では、次も持ち家へという買い替え世帯が三・三パーセント、貸家へ移るという世帯が四・一パーセントで、合わせてたった七・四パーセントの世帯しか移動していない。
それに比べて、貸家世帯は持ち家に移る世帯が八・二パーセント、次も貸家へという世帯が二六・七パーセントで、三分の一以上の世帯が移動している。
持ち家世帯と貸家世帯では、こんなに移動の自由がきく、きかなるあいという差があるのだ。
別だから、貸家住まいの若い人たちが「代官山に住みた耐い」とか、「表参道に住みたい」とか言うのは、全然身分不相応じゃない。
「狭くて、汚いけど場所だけは最高」というような家での生活をエンジョイできるのは、若いうちだけだ。
どんどんそういうところに住んで、世間の固なんか気にせずに、大いに奇抜なことをやっていただきたい。
「女房子供があったら、そう無責任なことも言ってられないじゃないか」というサラリーマンのぼやきが聞こえてきそうだ。
実際、日本の貸家の平均床面積はいまだに四七四八平方メートルで、単身世帯や新婚世帯ならともかく、ふつうの核家族世帯が窮屈な思いをせずに暮らせる物件の数は極端に少ない。
しかし、これは貸家を供給する大家側だけの責任じゃなくて、借り手の側にも責任のある話なのだ。
まず、田中角栄以来の「持ち家奨励」策に踊らされて、持ち家ばかり追い求めすぎたから、貸家の絶対量が少ない。
そのうえに、「歳をとって収入もなく貯金も底をついて家賃が払えなくなったとしても、住んでいる家だけは追い出さないでほしい」なんて虫のいい主張をする借家人が多すぎたことも、家族が安心して住める広さの家が、貸家市場にぜんぜん出てこなくなってしまった理由なのだ。
「家賃を払えなくなっても、追い出さないでほしい」という考えは、いまだに日本の裁判所などでは正当な要求とされていて、裁判になると勝ってしまうから始末が悪い。
しかし、人間生きている限り、だれでも歳をとる。
だから、歳をとるのは不慮の事故でも、不測の事態でもない。
歳をとって収入がなくなったり、貯金が底をついてしまうのは、本人の責任だ。
たまたま家を貸してくれただけで、別に借り手に対して扶養義務を負ってるわけではない大家に迷惑をかけて解決すべきことではない。
それは、無銭飲食や万引とまったく同じことだ。
それ以上に、家賃も払わずに貸家に居座ろうという人聞は、大家ばかりじゃなく貸家に住む人全員に迷惑をかけることになる。
大家は別に空き家は必ず貸さなきゃいけないと法律で強制されて、貸家を供給しているわけじゃない。
儲かると思うからこそ、供給しているわけだ。
もし、「老人はただで貸家に居座れるし、裁判に持ち込んだら大家のほうが負ける」と思ったら、住みつきゃすい広い家ほど貸家に出すのがこわくなるし、居座られる危険の大きい老人には貸さないというような自衛手段に出るのは当たり前だ。
つい最近までは、借り手のほうが「自分は絶対、家賃が払えなくなっても居座ったりしません。
そうなったらおとなしく出て行きます」というようなことを言っても、なかなか犬家に信用してもらえなかった。
人間、金がある時に言うことと、金がなくなってからすることは大違いだからだ。
しかし、二年三月から定期借家権にもとづく賃貸契約ができるようになった。
定期借家権というのは、契約が期限切れになったら、犬家のほうからでも「契約を更新しない」と言える契約のことだ。
これは、考えてみるとあきれ返って開いた口がふさがらないような話だ。
契約というのは、本来当事者のうちどちらでも解消したい時に解消できるからこそ契約なのだ。
借り手の方からは解消できるけど、大家の方からは解消できなかったいままでの日本の賃貸契約というのは、契約ではなくて大家の私有財産を借り手が強制収用していたようなものだった。
しかし、とにかくいまでは借り手のほうからも「契約が切れて、大家に出て行けと言われたら、おとなしく出て行きます」ということを、法律上の裏付けを持つて言うことができるようになった。
その結果、どういうことが起きたか。
期待通りに、いままではほとんど供給されていなかった大型貸家の供給が目に見えて拡大している。
アットホームという賃貸住宅情報会社の調べによると、「二一年三月に登録された定期借家契約物件数は二一三人件で、昨年三月の実績に比べると七五・六%増加した。
定期借家物件の平均像は、賃料が一四万四九円、面積が七六・四平方メートル」(日刊工業新聞、二一年五月一日付)というものだった。
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